私はマレーシアの車のナンバープレートが大好きでよく観察しています。
息子たちが小さい頃、車が大好きだった彼らのためにいろいろ調べて教えていたら、意味がわかって面白くなりました。
日本とは違ってアルファベットと数字のみですが、少しの知識で「その車がどこから来たか」などナンバープレートを読み解くことができるようになるんです!
知らなくてもいいけど、知るとお出かけして車を観察するのが俄然面白くなるマレーシアの車のナンバープレート事情を解説します。
1. ナンバープレートの種類
マレーシアのナンバープレートは、車両の種類によって形式が異なります。
車両の種類 | 形式(ナンバーの例) |
①自家用車・商用車 | ABC 1 WD 12 C QAA 123 C W 1234 C など |
②タクシー | HAB 4567 |
③軍用車両 | ZA 4567 |
④臨時プレート | A 2341 A (KLではW/TP 2341) |
⑤外交関係者 | 12-34-DC |
⑥王族・政府 | 肩書き |
解説します。
①自家用車や商用車は一番たくさん見る車ですね。こちらは後ほど詳しく説明します。
②タクシーはHで始まります。
③軍用車両はZで始まります。
④こちらはまだ登録されていない新しい車をディーラーが運搬するために一時的に付けられるナンバーです。正式なナンバープレートではないので、本体に取り付けられているのではなく、ワイヤーでかけられています。クアラルンプールでは “W/TP” のあとに数字が並ぶ形。
⑤外交関係者のナンバーは、赤いプレートになっているので非常に目立ちます。初めの2桁の数字が国を表すので、調べるとどこの国の人か分かります。
⑥王族などは、その人の肩書きがフルネームで書かれています。
これだけ分かれば、かなりいろいろ見分けがつくので面白いですよ!
2. 自家用車・商用車のナンバー
この中でも一番多いのが①の自家用車・商用車。
普段見かける車はほとんどこのタイプです。
例として
ABC 1
WD 12 C
QAA 123 C
W 1234 C
を挙げましたが、これからも分かるように、
1〜3個のアルファベット +
1〜4桁の数字 +
(最後にアルファベット1つが付いていることも)
という形式です。
この辺りはいろいろあるんだな〜と見ていただければいいのですが、面白いのは一番初めのアルファベットがその車が登録された州や連邦直轄領を表しているということです。
以下がそのリストです。
州、連邦直轄領 | ナンバープレート |
ペラ(Perak) | Aで始まる |
スランゴール(Selangor) | Bで始まる |
パハン(Pahang) | Cで始まる |
クランタン(Kelantan) | Dで始まる |
プトラジャヤ(Putrajaya) | Fで始まる、または Putrajaya |
ジョホール(Johor) | Jで始まる |
ケダ(Kedah) | Kで始まる |
マラッカ(Malacca) | Mで始まる |
ヌグリ・スンビラン(Negeri Sembilan) | Nで始まる |
ペナン(Penang) | Pで始まる |
ぺルリス(Perlis) | Rで始まる |
トレンガヌ(Terengganu) | Tで始まる |
クアラルンプール(Kuala Lumpur) | W, Vで始まる |
サバ(Sabah) | Sで始まる |
サラワク(Sarawak) | Qで始まる |
ラブアン(Labuan) | SL, Lで始まる |
クランバレー(クアラルンプール、スランゴールを合わせた首都圏)ではB、W、Vで始まる車のナンバーが圧倒的に多いのですが、連休になると他州ナンバーの車を見ることも多く、Pで始まる車があったら
「あの車はペナンから来てる〜」
と見るだけで分かるようになります。
子供が小さい頃は、遠い州のナンバーを見ると、
「あの車、Qで始まるってことはサラワクの車だ!どうやって来たの?」
などと話していました。
クアラルンプールは西マレーシア、サラワクは東マレーシアなのでどうやって海を渡ったの?と疑問に思ったのでしょうね。
3. 記念プレート
さて、ここからが面白いところです。
上記のように州や連邦直轄領によって初めのアルファベットが決まっているのですが、それ以外にCommemorative platesとかVanity platesと呼ばれる記念プレートのシリーズがあります。
何かのイベントの記念や資金集めのために作られ、オークションで落札されます。
例えばこちら、“Perfect” シリーズ。
マレーシア卓球協会のファンドレイジングのために作られたそうで、数字は1から100までの100枚しかないレアもの。
他にもたくさんあるのですが、よく見るものをいくつか挙げておきます。
Malaysia
PROTON(マレーシアの国産車メーカー)
PERODUA(マレーシアの国産車メーカー)
1M4U(1 Malaysia For Youthの意)
PATRIOT
VIP
RIMAU
IQ
G1M
X
U, UU, UUU
などなど。
このようなプレートを見るとめずらしい動物を見つけたような気持ちになり、ラッキー!と嬉しくなります(笑)。
ちなみに、「IQ 15」というプレートを見かけた時は、「すごく高そうだね。でもなんか頭悪そうな響き」と子供と話しました(笑)。
よく観察していると割と見かけるので、ぜひ発見して楽しんでください。
4. 高額で落札される “高級” ナンバープレート
意外と見かけるゾロ目ナンバー
そして、まあまあ見かけるのがゾロ目ナンバー。
777
8888
など、綺麗なゾロ目のナンバーを、私は出かけた日は必ずと言っていいほど見かけます。
車のナンバーに限らず、このようなゾロ目は「エンジェルナンバー」とも呼ばれ、天使からのメッセージが込められているとされます。
でもそのようなことを信じていてもいなくても、見つけたら
「うわあ、ゾロ目見ちゃった!ラッキー!」と喜んじゃいましょう。
このようなゾロ目ナンバーはとても人気があるので、オークションで落札されます。
また、ゾロ目ではないのですが、「1」のように一桁のプレートも非常に高額で取り引きされます。
ゾロ目アルファベットや特別な意味合いになるものも高額で落札される
数字ではなく、
AAA
BBB
など、同じアルファベットが並んだものも人気で、オークションにかけられます。
クアラルンプールの車がWで始まっていた頃(現在はVのみ)、“WWW” が出た時はウェブサイトのURLみたいということで人気でした。
また、“BMW” が出た時はBMW車のオーナーに大変人気だったそうです。(BMW車のオーナーだったら私も欲しいかも…。)
実際いくらで落札されるの?
では、実際に一体どれくらいの値段で取引されるのか…?というところが気になりますよね。
Wikipediaによると、2016年時点の記録では、以下がもっとも高額で落札されたナンバープレートだそうです。
“F 1” …RM836,660(約2,553万円)
“W 1 N” (“Win” とも読める) …RM748,000(約2,283万円)
“WWW 1” …RM520,000(約1,587万円)
ひえぇ〜。庶民の車が何台も買える値段です…。
ですが、これは少し情報が古いので最近のものはないかと調べたところ、2023年5月に行われた “FF” シリーズのオークションの情報を見つけました。このシリーズは、道路運輸省の77周年記念に発売されたとのことです。
この時、ある女性実業家が “FF9″ というプレートにRM909,999(約2,777万円)入札したということで話題になりました。
彼女の天国に逝ってしまったペットを思わせるナンバープレートだったそうです。
(入札額にもこだわりを感じますねえ〜。)
しかし、結局このプレートは他の人によってRM911,999(約2,785万円)で落札され、彼女は入手することができなかったとか。
マレーシアではこの値段は、ポルシェ級の高級外車1台とほぼ同じくらいです。
はあ〜(庶民のため息)。
道路運輸省はこの”FF” シリーズのオークションで、RM34,296,327(約10億4721万円)を売り上げたそうです。
なんとも桁違いな話でびっくりしてしまいますが、財源を確保するなかなか賢い方法ですよね。
プレートを買いたくない人は無料でランダムなものをもらえるし、お金を払うことを厭わない人からはお金を集めることができる。誰も損をしない方法です。
(※日本円価格は、執筆時のレートに基づいて計算されています。)
私がプレートを買った話
こんな桁違いの話をした後に庶民の話で恐縮ですが、私が新しい車を買った時の話をしましょう。
私は全くランダムなプレートをもらうのは嫌でした。
だって日本人って数字を言葉で読むじゃないですか。
「1123」だったら絶対見るたびに「いい兄さん」とつぶやいちゃうだろうし、「184」なら絶対「嫌よ〜♪」とか歌っちゃいそう。
「9317」とかが偶然来るのもイヤ。
ということで、いくつか希望を出してその中からあるものを、という感じでディーラーにお願いしました。数字の桁が少なくなるほど高くなるので、4桁で自分好みの希望を出し、その中からあるものをもらいました。
もらったナンバーは全然ゾロ目ではないのですが、それでもRM200ほどしましたよ。
さっきの話と桁違いで恥ずかしいのですが…。
全くランダムでもOK、という人以外はこのようにいくらかのお金を払って好みのナンバーを押さえたりするのです。
5. 最後に
ざっとマレーシアのナンバープレートのお話をしました。
細かいことを書くとキリがないので簡単に紹介しましたが、これだけでもかなりナンバープレートを「読み解く」ことができるようになり、見るのが楽しくなるのではないでしょうか。
「あのゾロ目ナンバーにはきっと車本体と同じくらいお金がかかっているのね!」などと想像しながら見るのも楽しいですし、記念プレートを発見して勝手に「ラッキー!」と嬉しくなるのもよし。
私は最近「このアルファベットと数字の並びは美しい〜!」と数学者のようなことまで思うようになってきました(笑)。
皆さんも観察して楽しんでくださいね。